2021.11.30

家族と一体感のある、キッチンの作り方

家族と一体感のある、キッチンの作り方

一日の中で一番家族が一緒に居られるのは、平日であれば学校や仕事から帰って来た夕方から夜の時間と言えるでしょう。
帰宅後お腹を空かせた子ども達は、夕食の準備の香りに誘わて自然とLDKに集まってきます。最近はリビング学習という習慣も浸透してきました。やはりダイニングやリビングに家族が集まってくることが多くなります。そんな時に、キッチンとダイニングとリビングの関係において、キッチンで食事の準備をしているお母さんと、リビングやダイニングで過ごす子供たちやお父さんとのコミュニケーションがスムーズにいく配置のアイデアを考えてみましょう。

1.キッチンを下げることで、リビング側に居る家族との目線を合わせる

キッチンを下げることで、リビング側に居る家族との目線を合わせる

十分食事がとれる奥行きのあるテーブルのあるカウンターキッチン。カウンターキッチンは前に座っている人と対面になれることでコミュニケーションが取りやすい作り方ですが、もう一工夫することでさらに家族の対話が生まれる仕掛けがあります。
こちらのお宅では、キッチンの床を一段下げて作ったことにより丁度座った人と、キッチンで立って作業をする人との目線が合うようになっています。普通のカウンターキッチンですと、立っている側がどうしても見下ろすような形になるので、会話を続けるには少し疲れてしまうことも。同じ目線であれば今まで以上に会話が弾むこと間違いなしです。

2.キッチンは家族の司令塔ポジションになる

2.キッチンは家族の司令塔ポジションになる

キッチンの奥にダイニングがあるこちらの事例。料理をしながら子供たちの勉強をみたり、家事をしながら家族のコミュニケーションに参加することができ、お互いに寂しさを感じにくいつくりと言えるでしょう。またキッチンに段差をつけ2段上にあげることで、キッチンを中心としてダイニングとリビングで、それそれに過ごす家族の様子を見ることができるのも嬉しいところ。まるでキッチンが家族の司令塔のような役割をしていますね。

3.リビングの床を上げるという、逆の発想

リビングの床を上げるという、逆の発想

先ほどまでにお伝えした2つの事例はどちらもキッチンの床を他の空間と高さを変えるものでした。今回の事例はその逆の発想で、リビングの床を上げたものになっています。通常の配置であっても、キッチンとダイニングが一体空間となり、リビングは距離的にも離れた配置になることが多いですが、リビング側が一段高くなっていることによって、キッチンで作業をしていても、ダイニングの空間に邪魔されることなくリビング側が見やすいという事が言えます。ダイニングやリビングに居る家族に対して声を掛ける時に、目線の高さを変えることによって、リビング側に居る家族にも声が届きやすくなるでしょう。実際の距離より近くでコミュニケーションが取れる仕掛けと言えます。

今回ご紹介したキッチンの作り方は、キッチンで作業をしている家族と、ダイニングやリビングで過ごす家族と、どのように円滑なコミュニケーションが取れる工夫が出来るのかという事を見ていきました。空間に段差を設けることで目線の位置が変化することが分かって頂けたと思いますが、その変化の付け方も、それぞれの家族の生活習慣によって変わってくると思います。是非自分たちの家族ならどうしたいか、考えてみるのもよいかもしれませんね。

2021.11.11

住む人に開放的な暮らしと、美しい街並みを作る外観デザイン

住む人に開放的な暮らしと、美しい街並みを作る外観デザイン

外観は車で通り過ぎる人や家を訪れる人がその家を目にする、いわば第一印象を与える大事なポイントです。素敵な外観を持つ家を見ると、どんな暮らしをしているのかな、中を見てみたいなと思いますし、その家の前を車で通る時などに嬉しく感じることもあります。また、カッコいいデザインの家はどうしても注目を集めるものですが、住む人にとっては遠慮のない視線はなるべくカットしたいという思いもあるでしょう。今回はデザイン性も高く、プライバシーの確保も出来る外観という観点で実例を見ていきましょう。

1.デザインの力で、カーテンのない開放的な暮らしが実現

1.デザインの力で、カーテンのない開放的な暮らしが実現

近くに幹線道路が通るという敷地条件でありながら、奥行きのあるインナーバルコニーと腰壁を設けることで、2階のリビングやダイニング空間まで外部の視線にさらされることがありません。また、1階の窓も白い塀があり、外からは中が見えない作りになっているので、家のどこにいてもカーテンの必要がない開放感のある空間が出来ました。また奥行のあるインナーバルコニーはその居住性もとても高く、天候に左右されることなくバーベキューなどのアウトドアライフを楽しむことが出来ます。シャープな片流れ屋根にダークグレーのシックな外観に、家の下部には白を持ってくることでシンボルツリーと相まって爽やかさも演出されています。

2.敷地に対して斜めに配置することにより、ダイレクトな視線をカットする

2.敷地に対して斜めに配置することにより、ダイレクトな視線をカットする

家を建てる時にはその土地の条件をよく読み取ることが重要になってきます。光や風が一日を通して、また一年を通してどのように入ってくるのかによって、最適な開口部や壁の位置が決まってくるのです。さらに前面道路がどの方角なのか、周囲に家はどのぐらいの距離感で建っているのかなどの条件により、どのくらい外部に対してオープンな外観にするのか等も考えなければいけません。こちらのお宅も敷地に対して斜めに配置することで、周囲からのダイレクトな視線をカットしつつ自然光を家の中に取り込むことが出来、明るい空間を作ることに成功しました。

3.インナーバルコニーは壁の高さを調節して開放感とプライバシーを確保

カウンターキッチンとダイニングキッチンのすぐそばに、大きな履き出し窓とバルコニーが設置されているこちらの事例。明るい空間で気持ちよく家族の団欒が出来そうな開放感たっぷりの空間が広がっています。そのバルコニーには2階のバルコニーの壁と一体になった壁が立ち上がっていて大開口ながらプライバシーはきちんと確保されています。また、壁の一部に開口部を設けることで、閉じ過ぎないバルコニー空間に仕上がっているので明るさはきちんとキープ出来ているのも大事なポイントです。白い壁と、バルコニーの壁の濃いグレーのコントラストが外観デザインを引き締めています。

外観は、特にデザインだけに目が行きがちですが内部空間から大きな影響を受ける要素も多くあります。内部空間をデザインしながら、敷地の条件を良く読み、住む人が快適に気持ちよく過ごせつつも、デザイン性を上げていくという事がポイントになって行くのではないでしょうか。敷地に余裕がある場合は、外構や駐車スペース等も一体でデザインすることで統一感のある外観スタイルが完成するでしょう。

2021.10.25

家族みんながそれぞれの使い方を楽しめる、フリースペースという空間

家族みんながそれぞれの使い方を楽しめる、フリースペースという空間

家の中にはリビングなどのパブリックスペースと、寝室や子供部屋などのプライベートスペースがありますが、大体がその部屋の役割と使い方が決まっていますね。でも最近は敢えて役割を決めずに自由に使える「フリースペース」という空間を作る事例が増えてきています。家族が各個室に閉じこもってではなく、リビングで皆と過ごしながらでもなく、自分のしたいことを自分のペースでやりつつ、家族の雰囲気を近くに感じることの出来るスペースとして使う事が多いようです。では早速どのように使っているのか見てみましょう。

1.ヌックと言う名のフリースペースをご存知でしょうか?

1.ヌックと言う名のフリースペースをご存知でしょうか?

ヌックとは元々スコットランド語で「小さくて居心地のいい場所」と言う意味です。スコットランドの建築用語ですが、最近はこのヌックを日本の家づくりに取り入れる人が増えているようです。敢えてスペースを作るというよりは、リビングの一角や普通ならデッドスペースになりがちな空間を家族がくつろげる場所としてデザインするというものが多いようです。誰のためのスペースでもなく、家族が使えるこじんまりとした空間という事では現代のフリースペースの新しいスタイルと言えますね。

2.書斎だけど、みんなが使えるフリースペースでもある

2.書斎だけど、みんなが使えるフリースペースでもある

こちらのお宅は、1の事例と同じお宅ですがフリースペースがいくつもあり、個々人が自分の部屋に閉じこまらないよう、用途やその日その時の気分に合わせたフリースペースを選択できるようになっています。家族の気配を感じながらも、自分の時間を堪能できるので飽きることなく使えますね。

こちらの事例は、スキップフロアを利用したオープンな作りになっています。お子さんが宿題や読書をしたり、ピアノの練習をしたり、時には家族を感じながらのワークスペースにも重宝しそうですね。

3.ミニキッチンのあるフリースペースは、ついつい長居してしまいそう

3.ミニキッチンのあるフリースペースは、ついつい長居してしまいそう

こちらはリビングの延長線上にあるフリースペースです。目隠しの壁の向こうにあるのでおこもり感はありつつも完全には閉ざされていない、家族との距離感も丁度いい空間です。このフリースペース内にはミニキッチンまで付いているということです。仕事中や勉強中にちょっと休憩したいなぁと思う時にLDKエリアまで行くと、ついつい休憩が長引いてしまいそうですが、フリースペース内にミニキッチンがあれば、お茶の用意をしてすぐに作業に戻れますので、集中が途切れることなく快適に過ごすことができますね。

4.通路の一角を利用したフリースペース

4.通路の一角を利用したフリースペース

こちらのお宅のフリースペースは廊下の一角にあります。自室でどうも調子が出ないなと言う時にも、廊下へ出てすぐにこのようなスペースがあれば、気分を変えて過ごすことが出来そうです。しかも廊下とは一段下げて作ることで別空間として気分の切り替えもしやすいでしょう。また、他の家族も声を掛けやすいというメリットも。椅子もたくさん置いてありますが、コーナーをうまく使って配置されているので向きを変えて座ることでそれぞれが集中出来るスペースになっています。

今回はフリースペースの色々な作り方をご紹介いたしました。特別なスペースという訳ではなく、部屋や通路、階段のある空間の一部にごく自然に配置されている事例が多かったと思います。この配置の仕方は毎日の動線の中で自然にみんなが利用したくなるような作り方であると言えるでしょう。個室ではないので、誰のものでもなく、自由に使える空間と言うのは、みんなにとって個室プラスアルファの空間という事でお得な感じもしますね。

2021.10.6

一日の始めと終わりに、オンオフが切り替わる。そんな洗面所をつくろう

一日の始めと終わりに、オンオフが切り替わる。そんな洗面所をつくろう

朝目覚めた後に最初に立ち入る空間、それが洗面所です。眠たい目をこすりながら顔を洗ってスッキリしたら、今日も一日始まるぞ! とオンモードになるそんな場所ですよね。また夕方帰宅した後、手洗いからそのまま一日分の埃と汚れを流したら、ホッとオフモードへ。ゆったりとした気分に切り替わって家族の団欒の時間を迎えられるようなそんな場所でもあります。今回は、気持ちよくオンオフの切り替えが出来る洗面所のアイデアを見てみましょう。

1.大きな鏡と横長のカウンターのある洗面所で、マイペースに身支度を

大きな鏡と横長のカウンターのある洗面所で、マイペースに身支度を

朝の忙しい時間帯は家族の中でも洗面所の取り合いになることも少なくありません。そこでこちらの事例のように、横長にカウンターを設け、鏡も壁一面に設置することによって、水道を使う人と身支度をする人が並んで使う事が出来ます。これだと順番を待ってイライラすることもなく朝の時間をゆったりと過ごせます。また、すぐ横を見れば庭の緑を眺めることが出来て気持ちも穏やかになりそうですね。

2.シンプルな洗面所には暖かさを感じる工夫で気持ちにゆとりを

シンプルな洗面所には暖かさを感じる工夫で気持ちにゆとりを

白一色の洗面所はシンプルにスッキリとまとまりますが、反面冷たい印象を受けることもあります。そんな時はこちらの事例のように、洗面所のカウンターや収納の棚に木材を採用してはいかがでしょうか。シンプルな中にも木の暖かみを感じて気持ちもゆったりとするでしょう。また必要なものを全て設置したとしても、少しでも開口部を設けることで自然光を感じることができ、気持ちもシャキッとするのではないでしょうか。

3.洗面所には疲れた体と心を癒してくれる、暖かい照明を設置しよう

洗面所には疲れた体と心を癒してくれる、暖かい照明を設置しよう

一日中、真っ白な蛍光灯の下で仕事をした後では脳も緊張感最高潮の状態で帰宅していることでしょう。そんな時に、洗面所の暖かな色味の照明が灯る空間で、手洗いうがい、洗顔などをしているうちに、自然とリラックスしてくる気がします。また、洗面カウンターや窓枠、収納棚は木材を使用し、床も暖色系の床材を使用することで、洗面所の空間全体が優しく照らされ目にも優しい空間になっています。

洗面所は、家族の一日の始まりと終わりの気持ちの切り替えに、とても重要な空間だという事がお分かりいただけたのではないでしょうか。それ以外にも洗濯や家事室としての役目もある、多目的なスペースでもあります。それぞれの家族のライフスタイルに合わせて、シミュレーションしながら洗面所を計画するのが大事なことですね。

2021.10.1

いつも一緒に居たいから、カウンターキッチン

いつも一緒に居たいから、カウンターキッチン
 
家の中のメイン空間となる、LDK。その空間構成のバリエーションは実に多様です。キッチンは料理作るという役割のある場所ではありますが、家族の健康な体や生活の基礎となる大事な空間でもあります。平日は家に居る時間が限られていますが、その中でも料理を作る時間と言うのは結構な割合を占めるもの。その時間も家族の顔を見ながら、会話をしたり一緒に作業をしたりしたいと思われるなら、カウンターキッチンがおすすめです。
 

1.眺めのいいカウンターキッチンで、調理中も気持ちよく

眺めのいいカウンターキッチンで、調理中も気持ちよく
 
カウンターキッチンは、家族の方を向いて調理ができるというメリットはもちろんありますが、配置によっては、窓の外の風景を見ながら作業ができることもあります。一日の始まりに窓の外の景色を見ながら、今日の天気や気温を感じることができるので、一日のメニューを考えるのにも役に立ちますね。こちらの事例ではダイニングテーブルがキッチンの横並びに配置されているので、動線が直線となり、作業がしやすい配置になっています。またカウンターキッチンの手元が隠れるように壁が立ち上がっているのでリビングや和室から生活感を感じないというのもポイントですね。
 

2.オープンで開放的なカウンターキッチンは一体感アップ

オープンで開放的なカウンターキッチンは一体感アップ
 
カウンター部分が広い、オープンなタイプのカウンターキッチン。カウンターの前にはスツールも置かれ、忙しい朝はカウンターで各自食事を取ることも可能です。カウンターで食事がすむとその後の片づけも楽ですね。ゆっくりと時間が取れる夕食や休日の食事にはカウンターキッチンの前に設置された大きなダイニングテーブルで食事の時間を楽しめます。オープンな作りになっているので家族も手伝いがしやすい作りと言えるでしょう。ただ、火元周りは隠されているので、油が飛ぶという心配もなく、日々の掃除の面でもこういった作りはメリットがあるでしょう。
 

3.カウンターキッチンは収納としても使えば空間の有効活用に

カウンターキッチンは収納としても使えば空間の有効活用に
 
カウンターキッチンの目隠し壁は収納を一体化するとさらに便利に使えます。キッチン周りにはとにかく小物が多く、しまう場所に困るものもたくさんあります。腰壁と一体にすることで、目立たずお洒落に収納を作ることができますね。扉を付けることで目隠しになりますし、埃も付かずに収納が出来ます。こちらの事例では坪庭の側にキッチンとダイニングテーブル、その向かいにはペニンシュラ型のカウンターキッチンが配置されています。ダイニングは坪庭の季節の移ろいを眺めながらお茶を飲んだり、ゆったりとした時間を過ごせる癒しの空間となっています。
 
今回ご紹介したカウンターキッチンは、家族の方を向いて作業ができて、家族の一体感がアップする作りであることがお分かりいただけたのではないでしょうか。カウンターキッチンのいいところは、どこまでオープンにしてどこを隠したいかという作り分けがしやすいという事もあります。カウンターキッチン+造作家具であなただけのオリジナルキッチンを作ってみるというのもいいですね。