Nishio Column

もっと、ずっと、暮らしに笑顔を

Vol.11


いつも一緒に、または程よい距離感で、
選べる二世帯住宅という暮らし方

 

結婚して、今まで別々だった二つの家族が新しい家族になる。家族のメンバーが増えることにより、楽しいことはもっと楽しく、大変なことはみんなで助け合って暮らしていけるというのが理想の形ではないでしょうか。家づくりを考えるタイミングはそれぞれの家族で違うと思いますが、親世帯と子世帯が一緒に家づくりを考える二世帯住宅では家族の触れ合いがより身近に感じられるというメリットがあります。

また、身近に感じるにしてもいつも一緒がいいのか、好きな時にお互いが行き来できるという距離感がいいのかという点でも二世帯住宅の作り方は違ってくるでしょう。

1.二世帯住宅は、みんなに優しい家

二世帯住宅にすると、やはり親世帯の今後の事を考えた間取りや空間構成の工夫が必要になります。こちらの事例でも、玄関の間口を広く取ることで、将来車椅子が必要になった時にも出入りがしやすくなるように工夫されています。また、段々と歳をとると、立ったり座ったりの作業も大変になってきますが、そんな時に便利なのが、廊下や玄関、水回りやトイレに設置された手摺でしょう。

家の中で転ばないための予防策としても適していますし、立ったり座ったりの動作の際のちょっとしたストレスを軽減することによって快適に家の中の毎日が過ごせますよね。また、こういった工夫は、何も親世代だけのものではなく、小さな子供がいるお宅でも便利ですし、家族みんなに優しい家づくりと言えるでしょう。

 

2.二世帯住宅ではいつも一緒に、賑やかに暮らしたい

完全同居型の二世帯住宅のメリットはいつも誰かがそこに居ると言う安心感ではないでしょうか。少し前の世代では、一番メジャーと言ってもいい、二世帯住宅のスタイルです。完全同居型における子世帯にとってのメリットは何といっても孫の面倒をある程度任せられるという事ではないでしょうか。

現代では共働きが当たり前の時代になっていますので、完全同居と言っても一緒に過ごす時間はそう長くはありません。平日に子供の送り迎えを頼めたり、休日にも子供と遊んでもらったりと子育てにおける負担が少なくなるのは重要なポイントです。

また、小さな子供たちにとっても、いつも優しい祖父母がそばに居てくれる事で、共働きで忙しい両親の世帯であっても寂しさを感じにくい状況だと言えます。色々な世代の大人と関わっていくのは子供が育って行く中でも大事な事ですね。

 

3.程よい距離感が、お互いを尊重出来る二世帯住宅

育ってきた環境が違う大人たちが一緒に暮らすと、毎日のルーティンですら全く同じリズムで過ごすという事は難しいでしょう。でも実はそういった細かいところにこだわりがある方も結構いらっしゃいます。そういう場合は二世帯住宅でも、ある程度距離をとった暮らし方が合っているのかもしれません。

2階にセカンドリビングやミニキッチンを備え付けて、自分たちだけの時間も気兼ねなく過ごすことができるようにすれば、家族それぞれの快適な距離感のある住まいが実現します。

お互いに自由に行き来が出来るような空間構成でありながらも、細かいところが気にならないような、そういった工夫をすることによって、日常のストレスからは解放されて、大家族のようなにぎやかな楽しさを味わう事も可能になります。

 

二世帯住宅とは、それぞれに性格が確立された大人たちが多く暮らす家ですから、それぞれの意見を出し合って、丁度いい距離感を作れるような空間構成と工夫がある家づくりをしましょう。

Vol.11

いつも一緒に、または程よい距離感で、
選べる二世帯住宅という暮らし方


一級建築士西尾 猛裕

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